MCIの特徴と症状
わが国における2022年の認知症患者数は433万人、軽度認知症(以下MCI)は約559万人と推測され2050年には高齢者の有病率が15%を超えると予測されています。認知症の内訳については半数以上がアルツハイマー型認知症、2割弱が血管性認知症、さらに神経変性性疾患であるレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症が1割未満弱となっています。
アルツハイマー型認知症を中心とする神経変性疾患の病態理解と治療・予防開発が重要と考えられます。
以前の認知症治療は、薬物療法と非薬物療法が並行して行われていました。現在の薬物療法では認知症症状の根治はできませんが、認知症の進行を遅らせることや認知症に付随する精神的な病状(BPSD)を和らげることを目的に薬を使用します。
以前は認知症の進行を遅らせる薬剤のみが薬物療法として行われてきましたが近年、アルツハイマー型認知症の病状の進行を停止する薬剤が開発され現在、使用可能となりました。
アルツハイマー型認知症における原因物質であるアミロイドβタンパク質に直接働きかける新薬が開発されました。2024年9月にはアメリカのイーライリリー社が開発した「ドナネマブ」が、2023年9月には日本のエーザイ社とアメリカのバイオジェン社が開発した「レカネマブ」がそれぞれ日本国内でも製造販売が承認されました。
ただしこれらの薬剤は軽度認知症(MCI)の状態で投与することが適応となっています。早期に医療機関に受診しMCIであることを診断する必要があります。
このためアルツハイマー型認知症の初期段階であるMCI状態であることを家族または周囲の方々が気づくことが重要です。MCIの特徴と症状を下記に示します。
| 障害される 機能 | 状態 | 行動例 |
|---|---|---|
| 記憶 | 新しいことを覚えられない、思い出せない | 買うべき物を忘れて同じものを何度も買ってくる、財布や鍵などの置き場所を忘れていつも探している |
| 注意 | 一つの作業に集中できない、注意力を分配できない | 会話の途中で気が散ってしまう、何か作業をしていて中断された後に戻ってこれない |
| 遂行 | 目標を立て順序立てて物事を行うことができない | 料理を手際よくできない、天気などを考慮して外出の計画を立てれない |
| 言語 | 言葉を理解できない、思ったことをうまく話すことができない | 誰でも知っているはずの単語の意味が理解できない、テレビや本の内容が理解できない |
| 視空間認知 | 見たことを正しく理解して空間や位置を認識することができない | コップやスプーンをつかみ損ねる、壁や家具にぶつかる、車をこする |
| 行為 | 慣れている動作をうまく行えない | ブラシで髪をとけない、歯磨きのやり方がわからない、上着をズボンのように履こうとする |
以上の所見を認めたときは射水市医師会ホームページ内に認知症の相談が出来る、かかりつけ医一覧の医療機関に受診されることをお願いする次第です。
ご協力のほどよろしくお願いいたします。