公益社団法人射水市医師会

北林クリニック

ロマンスグレイのすてきな紳士。北林先生の風貌を一言で言い表すとそんな言葉がぴったりする先生です。お話される言葉も物静かで、話を聞いていただくだけでも患者さんは癒されると評判です。今回、医師会のホームページで医師会の先生方をもっと知っていただきたいという思いをこめて、「射水市 町のお医者さん」という特集を始めました。
前もって、いくつかの質問を担当から先生にさせていただいております。今回はインタビュー形式で掲載させていただきます。

編集担当:

北林先生よろしくお願いします。北林クリニックは旧小杉町の真ん中に位置しております。場所は医師会ホームページ医院紹介の地図にてご確認ください。
クリニックの建物の外観は写真のごとくまだ新築の様相を示しています。
まず先生の経歴をご紹介いたします。

(経歴)
  1. 昭和54年3月 金沢大学医学部卒業、同年4月~昭和55年4月 同病院研修医
  2. 昭和55年5月~昭和56年4月 厚生連高岡病院脳神経外科勤務
  3. 昭和56年5月~昭和57年8月 金沢大学附属病院脳神経外科医員
  4. 昭和57年9月~昭和59年9月 石川県立中央病院脳神経外科勤務
  5. 昭和59年10月~昭和60年9月 金沢大学附属病院脳神経外科医員
  6. 昭和60年10月~平成17年3月 厚生連高岡病院脳神経外科勤務
    *平成2年4月より15年間脳神経外科部長を務める
  7. 平成17年4月 北林クリニック開設、現在に至る

取得しておられる専門医の資格は下記の通りです。

  • *日本脳神経外科学会専門医
  • *日本脳卒中学会専門医
  • *日本頭痛学会専門医

富山県において頭痛専門医の資格を持っておられる医者は数名の方しかいないと聞いております。
日本頭痛学会認定頭痛専門医)

まず先生にお聞きします。なぜ、射水の今の土地に開業されたのでしょうか。地域への思い入れ等お聞かせいただきたいと思います。

北林先生:

まず、私は生まれが旧射水郡大島町で大学入学までは大島町で育ちました。開業を考えていた際に、この小杉の土地を紹介して下さった方があり、やはりなじみのある射水で、地域に根ざした医療をめざして頑張ろうという事でこの地を選択しました。
病院勤務時代はいろいろな患者さんの診療に携わってきましたが、脳卒中を発症し、後遺症に悩む患者さんやその家族の方に接する機会も多く、脳神経外科治療の限界というものも感じていました。やはり、何よりも脳卒中を予防することが大事だと痛感しています。脳卒中予防のための日々の健康管理という形で少しでもお役に立てればと今は考えています。
また、「脳神経外科」というと何かとっつきにくいイメージがあるかと思います。頭痛などから頭の中の大きな病気の可能性など心配なことがあるけれど、大きな病院の脳神経外科を受診するには少しためらいがある。そんな方に気軽に受診していただいて、専門的な知識をいかして相談にのらせていただく、というのも大事な仕事と考えています。

編集担当:

地域において専門的な知識と経験のある方が身近で親身に相談にのっていただけるというのは心強いことです。具体的に北林先生が専門にされている「頭痛」という症状においてどんなときに私たちは頭痛専門医に相談しようと思えばいいのでしょうか。

北林先生:

頭痛専門医を受診してほしいときについてお話します。
まずお願いしたいのは「頭痛は病気である」という認識を持っていただきたいということです。脳腫瘍や脳卒中に伴って起こる頭痛はどなたも病気と認識されているでしょうが、そのような異常が無くても、頭痛を繰り返す場合には立派に病気だと考えていただきたいのです。「頭が痛いくらいで医者にかかるのは恥ずかしい。頭痛薬をのんで我慢しよう。」というのは正しい考えではないと思います。”病気”なのですから医者にかかっていいと思っていただきたいと思います。
頭痛によって学校生活や仕事に支障をきたしていながら「頭痛持ちだから仕方がない」というふうに考えていらっしゃる方がまだまだ多いようです。片頭痛を初めとして、適切な診断と治療により生活上の支障が大幅に軽減できる可能性がありますのでつらい頭痛を繰り返す方にはぜひとも頭痛専門医を受診していただきたいと思います。
また、自分流の判断で鎮痛剤を頻回に服用することにより、かえって頭痛の原因を作っている「薬物乱用頭痛」という状態の方もたくさんいらっしゃいます。1ヶ月に10回以上、鎮痛剤を服用している方もぜひ頭痛専門医を一度受診してみてください。

編集担当:

開業されてから具体的にはどういう疾患の方がクリニック受診では多いのでしょうか。

北林先生:

当院では「片頭痛」の方が割合的には一番多いです。片頭痛は非常につらい頭痛で嘔気や嘔吐をともない、日常生活に支障をきたすことが多い疾患だというのが受診率の高さにつながっているようです。以前はなかなか治療が困難な場合もありましたが、最近はトリプタン製剤という特効薬がありますので、痛みの軽減において恩恵を受ける患者さんが多くなっています。
次に多いのが「緊張型頭痛」と言われるものです。頚筋の緊張が原因となることが多い疾患です。ある調査では片頭痛よりは緊張型頭痛の患者さんの方がうんと多いのですが、頭痛の程度が日常生活に支障をきたすほど強くないということが受診率の低さにつながっているようです。
そのほか、前述の疾患ほど多くはありませんが、患者さんを悩ませる頭痛として「副鼻腔炎に伴う頭痛」「群発頭痛」と診断される方もいらっしゃいます。いずれも適切な診断で治療、対処可能な疾患です。

編集担当:

お話をうかがうと頭痛の多くが正しい診断と治療によって軽減するのだということがわかります。中には頭痛の症状で大きな病気(脳腫瘍、脳血管の異常)が疑われる場合もあると思いますが北林クリニックではどこまで検査していただけるのでしょうか。

北林先生:

脳腫瘍や脳血管の異常でも片頭痛と似た症状を呈することもあり、頭部CTないしMRI検査は大きな病気を除外するためにも一度はぜひとも受けていただきたいと思います。
脳の表面にゆっくりと血液が溜まって脳を圧迫する「慢性硬膜下血腫」という疾患も、頭痛だけで麻痺その他の神経症状がはっきりしない状態で受診されることがありますが頭部CTで診断可能です。
当院では頭部CT検査は可能ですが、脳血管を調べたい時にはMRIが必要で、その場合、近くの病院に依頼しています。

編集担当:

最後に見逃しやすい重症疾患など頭痛の症状の場合に特に気をつけることがありましたらお願いします。

北林先生:

麻痺や言語障害などの症状があれば、頭蓋内の異常が疑われやすいのですが、症状の出にくい場所にできた脳腫瘍や小さな脳出血など頭痛が初発症状でみつかる病気もあります。
「くも膜下出血」や「解離性動脈瘤」という怖い病気も頭痛だけが症状ということもありますので『いつもと違う頭痛』と感じた場合にはやはり専門医を受診していただいた方がいいと思います。

編集担当:

北林先生ありがとうございました。「町のお医者さん特集」ということで今回北林クリニックの北林正宏先生をご紹介いたしました。射水で開業しておられる先生方はそれぞれ大学病院や総合病院時代に様々な専門や得意分野を持っておられます。そういう面も含めて地域の皆さんに理解していただけたらと思います。

このページの先頭へ